腰が痛い肩が凝るというのは、年齢のせいではなく乗り方の問題です。
我々配達員は、1日8時間以上バイクに跨ることもザラです。これはもはやツーリングではなくデスクワークに近い環境と言えます。悪い姿勢で長時間座り続ければ、体がおかしくなるのは当然です。翌日に疲れを残さず、連勤可能なコンディションを維持するための疲れないフォームを解説します。
疲れの原因は座り方と握りすぎ
疲労の正体は、無駄な力です。特にスクーター配達員に多いのが、ハンドルにしがみつくような猫背フォームです。
スマホの地図を覗き込もうとして背中が丸まり、バランスを取ろうとして腕でハンドルを抑え込む。この状態だと、路面からの衝撃が全て腰と首にダイレクトに伝わります。さらに腕が突っ張っていると、ハンドルの自然な動きを妨げるため、バイクが曲がりにくくなり、それを修正するために余計な筋力を使うという悪循環に陥ります。
ハンドルは握るのではなく、手を添えるだけ。これを意識するだけで、肩こりは劇的に減ります。手は卵を優しく握るように添え、肘は軽く曲げてサスペンションのように衝撃を逃がすのが基本です。
背中は緩やかなS字を描く
では、腕の力を抜くにはどうすればいいか。答えは下半身と体幹で体を支えることです。スクーターはニーグリップができませんが、足の置き場と座る位置で安定感を作れます。
シートのセンターに座る
信号待ちなどで一度ステップに立ち上がり、そのまま脱力してストンと真下に座ってみてください。そこが、あなたの体が最も安定するシートの中心です。左右にズレていると、無意識に修正しようとして腰周りの筋肉が疲労します。
拳1個分のスペース
シートの前方に詰めすぎて座っていませんか? 股と車体の前部の間には、拳1個分のスペースを空けてください。窮屈な姿勢は血流を悪くします。
骨盤を立ててS字を描く
猫背はNGですが、背筋をピンと伸ばしすぎるのも腰に悪いです。イメージはおへそを前に突き出すこと。骨盤を少し前傾させ、背骨が緩やかなS字カーブを描くように座ります。これが人間にとって最も衝撃吸収性の高い姿勢です。
休憩時のストレッチで回復
どれだけ良い姿勢でも、同じ体勢が続けば血流は滞ります。ピック待ちや地蔵の時間こそ、体をメンテナンスするチャンスです。
バイクから降りて、以下のストレッチを数秒やるだけで回復力が違います。
- アキレス腱伸ばし:ふくらはぎのポンプ機能を動かし、足のむくみを取る
- 肩甲骨回し:肘を曲げて大きく肩を回し、固まった背中をほぐす
- 股関節ストレッチ:片足を大きく踏み出し、股関節の付け根を伸ばす
疲れたから休むのではなく疲れる前にほぐすのがプロの管理術です。
もし、正しい姿勢を意識しても振動で体が痺れる、腰への突き上げが激しすぎるという場合は、バイクのリアサスペンションがヘタって底付きしている可能性があります。サスが死んでいるバイクは、路面の衝撃を吸収できず、そのダメージを全てライダーの体に伝えてきます。これは健康被害レベルです。サスペンション交換にはそれなりの費用がかかりますが、体を壊して稼働できなくなるリスクを考えれば、乗り心地の良い新しい車両への乗り換えは、医療費の節約とも言える賢い投資です。

